ル・クローン LeCourant

ル・クローンの思想と製品

●ル・クローンとは

弊社が1984年から独自に開発してきた、企業向けアプリケーションシステムを開発・運用するためのミドルウェアの総称です。
独自のデータベース、言語処理、画面設計、実行制御、環境定義、ユーティリティを備えた統合型アプリケーション開発環境です。基幹業務アプリケーション向けのProシリーズ、モバイル・POS端末向けのDeviceシリーズの2系統の製品があります。

●ル・クローンのアプリケーションシステム開発の考え方

アプリケーションシステムの詳細設計および開発は以下の4つの要素から成ると考えています。

①I/Oアルゴリズム
 入力画面や出力画面・帳票の仕組み
②ワークエリアの定義
 処理に使用するメモリ上の変数等の定義
③データベース定義
 処理に使用するデータベースのレコード・フィールドの定義
④処理ロジック
 ①~③をハンドリングするアプリケーション固有の記述

ル・クローンの開発が始まった1984年当時は、①~④のすべてをCOBOL、BASIC、Cといった処理言語で記述していました。当時は、詳細設計およびコーディングにおいて①~③が90%を占め、④は10%程度でした。

1984年当時のアプリケーションシステムの詳細設計及び開発に関する4つの要素の円グラフ
ル・クローンは、①~③を対話型のツールで構成して仕様書を書くように定義し、アプリケーション固有の処理である④のみをイベント起動型の処理式で記述することで設計・コーディング工数を大幅に削減することに成功しました。
2000年前後からアプリケーションシステム開発は、統合開発環境の元、①②はアプリケーションに応じた適切なワークフレーム/クラスライブラリを利用し、③はSQL文を用いることが一般的になりました。ル・クローンの思想を時代が追認したとも言えるでしょう。

●デバイス・OS・運用環境の違いをル・クローンが吸収

ル・クローンDeveloper(開発環境)が生成するアプリケーションプログラムは、各種の定義情報と処理式を中間コードにコンパイルした実行形式ファイルです。この実行形式ファイルを、各デバイス・OSごとに提供しているル・クローンAgent(実行環境)が実行します。

ル・クローンでのアプリケーション開発ならびに動作環境のイメージ
企業の資産であるアプリケーションシステムは、デバイスやOSを変更しても変わらず動作すべきと私たちは考えています。ル・クローンは、実行形式ファイルをAgentが実行するという構成を取ることで、異なるデバイス、異なるOS、異なる運用環境でも、アプリケーションに手を加えることなく動作します。(デバイス・OS固有の機能および制限を除く)
私たちは、1984年以降のデバイス、OS、運用環境の変化に追従し続けています。実際、約30年前にスタンドアロンPC上で開発されたアプリケーションが、現在、ほとんど手を加えることなくクラウドサーバーと数十台の端末機の構成で稼働しています。
ハンディーターミナルやタブレットなどのモバイル・POS端末では、より顕著にル・クローンの効果が表れています。1998年SHARPザウルス上で開発されたル・クローンアプリケーションは、WindowsCEを搭載したモバイル端末で、大きくなったメモリと充実した周辺機器を活かしてより高度なアプリケーションに成長し、現在は最新のAndroid端末やiOS端末で稼働しています。
デバイスやOSが変わるたびに一から作り直すことを強いられる開発環境と、「今までどおりのものは今まで通りに動く」さらに「高い性能・新たな機能の恩恵を受ける」開発環境では、どちらがアプリケーションシステムの進化が促されるかは明らかでしょう。

●時流に左右されない開発環境を提供する
ル・クローンのポータビリティ

1990年代後半からマイクロソフト、IBM、Googleなど大手各社が統合開発環境を提供し、アプリケーションシステムの多くは、それらを使用して開発することが主流になりました。しかし開発環境の主流は数年ごとに変わり、その都度、古い環境は切り捨てられ、ユーザー企業は長年培ってきたアプリケーション資産を捨てざるを得ない状況に追い込まれます。
ル・クローンはデータベースシステム、言語処理系、画面設計ツールなど、すべてを自社開発し、すべてのソースプログラムを所有しています。これらのソースプログラムの主要部分はC言語で記述されています。多様化し変化していくデバイス・OSに対してもC言語は基本言語として実装されるため、ル・クローンは変化に追従する高いポータビリティを持ち、時流に左右されない開発環境を提供できます。

●複雑なデータ構造でも高性能を発揮する軽量・高速な
ル・クローンデータベース(LCDB)

ル・クローンのデータベースシステムは、メインフレームのデータベースを源流とする、複数キー・複合キー・複数エントリに対応したVSAM編成データを使用しています。現在、業務システムで主流のSQLデータベースでは、項目数が多く複数の複雑なキーを持つテーブルでは処理性能が大きく低下します。これは、データ構造とは切り離されたSQL文でデータベースアクセスしている弊害です。 ル・クローンは、データ構造の特性を最大限に生かすシンプルなデータベースアクセスのため、複雑なデータ構造でも処理性能はほとんど低下しません。
さらに目的に応じて機能をカスタマイズすることで、数百KBのメインメモリでも稼働する軽量データベースとしても利用可能です。